dancyu.com
創業宝暦五年、岐阜県特産「堂上蜂屋柿」使用
御菓子 つちや
「御前白柿」の名で販売される「堂上蜂屋柿」は、
干し柿の最高峰と言われる。
dancyu2011年1月号から、著者の向笠千恵子さんの文章を引用すると、「歴史と味の風格をいうなら、美濃の堂上蜂屋柿に最初の指を折る」。岐阜県美濃加茂市蜂屋町原産の角張った大形の柿で、朝廷に献上された平安時代からは昇殿を許される殿上人の意の“堂上”を冠して呼ぶようになった。
また蜂屋の語源は、源頼朝が「蜂の蜜のように甘い」と絶賛し、柿も地名も蜂屋の名を賜ったことによるそうだ。さらに豊臣秀吉は茶会の菓子に用いたし、徳川家康の愉快な逸話まで残っている。家康が関ケ原の戦で大垣まで進軍したとき、地元の人々にこの柿を献上され、「われ戦わずして大柿(大垣)を得たり」と喜んだそうな。駄洒落を言いそうにない家康までを有頂天にさせたというのもこの柿の勲章の一つなのだ。
現在は、創業宝暦5年(1755年)という老舗の「御菓子司つちや」が、堂上蜂屋柿の生産に取り組んでいる。堂々たる深い味わいで楽しませてくれる名品である。また、この干し柿のジャムを入れた白小豆羊羹の「延寿柿」は風雅に富んだ銘菓だ。
(文・dancyu編集部 町田成一)
- HOTワード
- #「瓢亭」「蜀郷香」「懐石小室」など、名店の味をお届けします #とっておきのスイーツ #東白庵かりべ かけ・せいろ #オイスターバー #江戸前ちば海苔 #瀬田の唐橋 炭火割烹 蔓ききょう #表参道ナプレのピッツァ