dancyu2011年3月号特集
ついんスター「米粉アイス」
熊本県の北東部にある菊池市では、米粉や米麺を使った地元発のオリジナルメニューが続々登場、ご当地グルメファンの熱い注目を集めつつある。
菊池渓谷からの自然豊かな水が流れ込む肥沃な大地をもつこの地は、古くから米処として知られてきた。江戸時代には将軍の御供米となり、昭和初期に菊池米の出来が大阪の米相場を左右したと言われるなど、その美味しさは全国に知られた。そして地元では、落雁、白玉団子、ゆべしなど、米粉を使ったさまざまな加工品も伝統的につくられている。
「3年前、地域活性化の新事業について考えたとき、やはり行き着いたのが米でした。米自体はもちろん、米粉の加工や米麺開発まで、すべて地元で行ないたいと考えました」と菊池市商工会会長の笠愛一郎さん。折しも熊本県が米粉の生産を推進する動きがあったほか、米粉や米麺を市内物産館で扱うなど環境も整い、米粉は順調に広まっていった。
加えて話題となったのが、米粉を使ったオリジナルメニューの発信。商工会の呼びかけに応じて、地元・菊池温泉の旅館や市内の飲食店など30の事業者が次々に名乗りを上げた。米麺を使った麺料理をはじめ、小麦粉の代わりに米粉を使ったグラタンやパン、ピザや串揚げ、アイスクリームやケーキなどのスイーツも登場。さらには、あっさりした米麺に合う甘辛い味つけの〝七城好き焼そば〟や、もっちりした食感が意外な美味しさの〝米麺巻ずし〟など、斬新なアイデアのオリジナル料理も登場している。
南北朝時代に隆盛を誇った菊池一族の本拠地として、菊池武光公の騎馬像や、一族を祀った菊池神社などの史跡が残る。
地域活性を後押しする笠さん(左から3人目)をはじめ菊池市商工会の面々。
九州きっての景勝地・阿蘇の外輪山に隣接する菊池市。野菜から果物、畜産物まで、さまざまな自然の恵みが楽しめる。
たとえば、〝米麺巻ずし〟を開発した「梅ずし」の梅田雄二さんは、「地域の料理人が集まって勉強会を開いたり、地元を盛り上げたい気持ちで一丸となってがんばっています。米粉の個性や味わいをどう生かすか、難しいけどやりがいがありますよ」と言う。
こうした米粉グルメを目的に訪れる観光客も増えてきた。また、オリジナルメニューを競い合う、その名も〝米―1(べーわん)グランプリ〟が開催されるなど、ますます注目度も高まっている。
日本全国に広がりを見せつつある米粉料理のブーム。「将来は、全国の米処と手を組んで、地域おこしの〝米粉サミット〟を仕掛けてみたい」(笠さん)という菊池の人々の熱い想いが実現する日も遠くないかもしれない。
(文・鈴木糸子 撮影・宮地 工)
「フード・アクション・ニッポン」とは、日本の食を次の世代に残し、創るために、民間企業・団体・行政等が一体となって
推進する、食料自給率向上に向けた国民運動です。http://syokuryo.jp
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