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峰富士壺
峰は山頂、富士は富士山。つまり、日本のフジツボの中で一番大きいという意味。
孵化した幼生は海老や蟹同様に海中を浮遊して育つ。その後、岩などにへばりつき、海老や蟹の甲羅のように、硬い貝殻状のすみかをつくり、その中で成長する。青森県で古くから食べられてきた夏の酒肴だ。
味と香りが絶妙なので、ゆでるか蒸すといった単純な料理がお薦め。
たとえば、殻をたわしで洗ったフジツボを、浸るくらいの薄めの塩水に並べ、蓋をして沸騰したら火を弱めて5分ほどゆでる。硬い殻の中に、二枚貝のような部分があるので、それを摘んで身を引っ張り出す。指が入らない場合は、小ぶりのフォークや金串でもOK。
つまり、海老や蟹の殻をむく代わりに、硬い殻から引っ張り出すのが食べ方の基本だ。
味は酒肴以外の何物でもない大人の食べ物だ。中身を引っ張り出して食し、次に殻の底に残った汁を啜る。この陸奥湾の夏の美味は生産量が限られる、一般入手が難しいローカルな高級食材だ。