dancyu2012年8月号特集
秋田、白神山地の豊かな清水に育まれた
じゅんさい鍋と 純米酒
夏の鍋と酒である。 比類なき笹本翁のじゅんさいを おいしく食べるための極めつけ、 と言っても過言ではない。
大自然の力を湛えた食材
京都の割烹で出会う小さなじゅんさいは、ちょっと儚げな味わいが涼しさを呼ぶ夏の食材だ。ところが、笹本さんの手によるじゅんさいは、一つが3〜4cmもあろうかという大きなもの。ふるふるとした表面のぬめりも、こりこりとした中身も、確かな食べごたえである。当初、じゅんさいを鍋にすると聞いてピンとこなかったが、実物を見て納得した。火を入れてもへこたれない。大自然の力を湛えた食材なのだ。
放し飼いされた 比内地鶏でとっただしで、じゅんさいをさっと煮て食べる
ぷるっぷるの喉ごしは、深山の精も一緒に呑み込んだかのようだ。山菜のミズも良い。笹本さんの沼のまわりで採れた天然もので、しゃきしゃきとした食感が楽しい。 肉はもちろん比内地鶏。じゅんさいとミズの合間にいいアクセントになる。ご飯を半殺しにしてまるめた、だまこもちも入る。笹本さんが天日干しで仕上げたあきたこまちを使っているという凝りようだ。
放し飼いされた 比内地鶏でとっただしで、じゅんさいをさっと煮て食べる
日本で唯一、 白神山地の湧水で仕込む
これだけの鍋に合わせる酒は、一筋縄ではいかない。地元には、白瀑と山本で知られる山本合名会社がある。蔵では、白神山地に連なる山から湧き出る天然水を直接酒蔵まで自家水道で引き込み、日本で唯一、仕込みを始めとするすべての工程に使う。
自社の仕込み水が流れ込む棚田で酒米の栽培も行なっており、仕込水で酒米を栽培し商品化している酒造メーカーは全国的にも前例がない。
【左写真】蔵の近くにある薬師山の麓には、酒銘の由来となった白瀑神社があり、高さ17mの名瀑“白瀑(しらたき)”が美しい姿で、四季涸れることなく清らかな水を注いでいる。
【下写真】「うちの酒は、山中に湧く天然水を引いてきて酒を仕込みます。きめの細かい天然の湧水は、鉄分が少なくて、酒造りに最適な水なのです。」と六代目 山本友文氏は語る。
旨いものを食べ尽くした人にこそ、 この鍋と酒を楽しんでほしい
じゅんさい鍋とセットでお届けする「白神のめぐみ」は、普段は地酒専門店にしか卸さないとのこと。伝統的な秋田AK-1酵母を使った特別純米酒だ。涼しげな飲み口が印象的。味の輪郭がしっかりとしているから、醤油味の鍋に抜群の相性である。
白神山地のじゅんさい鍋と純米酒。心身を清らかにしてくれる。
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